NEMA 17 vs NEMA 23:どちらのステッピングモーターがDIY CNCに最適か?

DIYでCNCマシンを製作する際、どのステッピングモーターを使うかは非常に重要な決断です。中でもよく使われるのが「NEMA 17」と「NEMA 23」で、それぞれサイズやトルク、電力消費など異なる特性を持っています。プロジェクトの内容によって、最適なモーターは異なります。

 

 

この記事では、NEMA 17とNEMA 23の違いを詳しく比較し、それぞれの適した用途、コスト、パワー要求、推奨ドライバーなどを明確に解説します。DIYでCNCを構築したい方には特に役立つ内容です。

1. NEMA 17とNEMA 23の違いとは?

「NEMA」は米国電気機器製造業協会(National Electrical Manufacturers Association)の略称で、17や23という数字はフランジ(前面板)のサイズを1/10インチ単位で表しています。

  • NEMA 17:1.7インチ(約43.2mm)
  • NEMA 23:2.3インチ(約58.4mm)

一般的に、サイズが大きいほどトルクも大きくなり、重量のある作業にも耐えることができます。

NEMA 17とNEMA 23のステッピングモーター比較図 – サイズ、トルク、価格、用途の違いを並列で示したイラスト

2. トルク比較:力 vs 精度

トルクはCNC加工で非常に重要な要素です。以下は代表的なトルク値です:

  • NEMA 17:40~50 oz-in(約0.28~0.35 Nm)
  • NEMA 23:100~300 oz-in(約0.7~2.1 Nm)

NEMA 23はNEMA 17の2~4倍以上のトルクを持ち、硬い木材の切削や深い加工など、力が必要な作業に適しています。

 

 

3. 電源とドライバの選択

トルクが大きい分、消費電力も増えます。NEMA 23は通常24~48V / 2~4A、NEMA 17は12~24V / 1~2A程度で動作します。対応するドライバも異なり、NEMA 17にはDRV8825、NEMA 23にはTB6600が推奨されます。

また、電源ユニット(SMPS)も重要です。NEMA 23を使う場合、最低でも24V 10A以上が望ましく、NEMA 17であれば12V 5A程度でも安定稼働可能です。

4. サイズと重量の影響

コンパクトなデスクトップCNCや3Dプリンター、軽量レーザー彫刻機にはNEMA 17が適しています。一方で、加工面積が広い、硬い素材を切削する場合はNEMA 23が望ましいです。

5. 価格比較

  • NEMA 17:約1,500~3,000円
  • NEMA 23:約3,000~6,000円

価格差はそれほど大きくありませんが、NEMA 23を使用する場合、対応するドライバや電源、フレーム補強なども含めて総コストは高くなります。

 

 

6. 推奨用途

NEMA 17が適している用途:

  • ミニCNC彫刻機
  • 3Dプリンター
  • レーザーカッター
  • 軽量CNCマシン

NEMA 23が適している用途:

  • 中型~大型CNCルーター
  • 高トルクが必要な木工旋盤
  • 硬木の加工
  • 4軸以上のCNCシステム

7. 比較表まとめ

項目 NEMA 17 NEMA 23
トルク 低〜中
消費電力
サイズ / 重量 小型・軽量 大型・重い
価格 安価 中価格
推奨用途 軽作業CNC 重作業・長時間稼働

 

 

まとめ:用途に合わせて選ぼう

最終的には、CNCマシンの目的に応じて選ぶのがベストです。静音・省電力・コンパクトな構成を求めるならNEMA 17、高トルクで長時間の切削作業をこなすならNEMA 23が適しています。

選択後は、それぞれに合ったドライバ・電源・フレーム剛性を準備することで、モーターの性能を最大限に活かすことができます。

このブログの人気の投稿

DDR5 vs DDR4:クロック速度と構造の進化

FET種類別性能比較と用途戦略:RF・電源・デジタル回路で最適なFETを選ぶ方法

Calexit(カリフォルニア独立)は実現可能か?政治・経済・国際法から見たシナリオ分析