投稿

ラベル(BMS)が付いた投稿を表示しています

BMS完全ガイド:リチウムイオン電池の爆発を防ぐ見えない盾

イメージ
リチウムイオン電池は、スマートフォン、ノートパソコン、電気自動車など、現代のデバイスの心臓部です。その高エネルギー密度は私たちの生活を支えていますが、適切に管理しなければ火災や爆発のリスクを伴います。その裏で安全性や長寿命、性能を守っているのがBMS(バッテリーマネジメントシステム)です。本記事では、BMSの主要な機能、仕組み、そしてなぜBMSがリチウムイオン電池の安全に不可欠なのかを実例とともに詳しく解説します。     BMSとは? BMS(バッテリーマネジメントシステム)は、リチウムイオン電池パックの状態を監視・管理する電子制御システムです。電圧や電流を測定するだけでなく、充放電の制御、セルのバランス調整、電池の健康状態のデータ提供など、多岐にわたる役割を担っています。電気自動車やドローン、大型蓄電システムではBMSは必須です。 BMSの主な機能 過充電保護 :セルの電圧が安全限界(通常4.2V)を超えると充電を停止します。 過放電保護 :セルの電圧が2.5V未満になると放電を停止し、損傷を防ぎます。 過電流・短絡保護 :異常な高電流が流れると回路を遮断します。 温度監視 :安全範囲を超える温度で充放電を制限します。 セルバランス :セル間の電圧を均等化し、個別セルの過負荷を防ぎます。 状態モニタリング :SOC(充電状態)、SOH(健康状態)などをリアルタイムで監視します。     BMSがないとどうなる? BMSがないリチウムイオン電池は、過充電、過放電、過熱、短絡などによって火災や爆発を引き起こすリスクがあります。例えば2016年、ある有名スマートフォンは設計不良と保護不足により世界的なリコールとなりました。また、BMSなしで作られたDIYの電動自転車やドローン用バッテリーパックは、衝撃や誤った充電で内部短絡し火災を引き起こした事例もあります。 BMS設計のポイント 高精度の電圧測定 :ミリボルト単位の精度が必要です。 高速データ処理 :急激な状態変化に即応できること。 絶縁設計 :高電圧回路と低電圧信号回路の安全分離。 通信機能 :CAN、UART、SPIなどのプロトコルに対応し、システム連携を実現します。 ...

BMS回路のMOSFETゲート電圧をテスターで測定する方法

イメージ
バッテリーパックの診断時、特にBMS基板が電圧を出力しない場合、MOSFETのゲート電圧を測定することは非常に重要なステップです。このテストにより、FETの故障か、コントロールICの問題かを特定できます。     1. ゲート電圧が重要な理由 MOSFETは電子スイッチとして機能します。ゲートとソース間に十分な電圧(Vgs)がかからない限り、MOSFETはオフの状態を保ち、電流は流れません。 ゲート: BMS保護ICにより制御される ソース: 通常はB−(バッテリー負極)に接続 ドレイン: P−(負荷や充電のマイナス端)に接続     2. ゲート電圧測定の手順 テスター(マルチメーター)をDC電圧モードに設定します。 黒のプローブをB−(バッテリー負極)に接続します。 赤のプローブをMOSFETのゲート端子に当てます(通常は一番端のピン)。 電圧を読み取ります。一般的には2〜4V以上あればFETはオン状態になります。 ゲート電圧が0V付近の場合、MOSFETはオフのままで通電しません。     3. 測定結果の読み取り ゲート電圧 = 0V: コントロールICが保護モードに入り、FETを遮断している可能性があります。 ゲート電圧 = 高(例:8〜10V): FETはオンになっている状態です。それでも出力がない場合、他の回路に問題があります。 電圧が不安定: ゲート抵抗、ツェナーダイオード、またはICの不具合が考えられます。 4. 測定時のコツ 充電中や放電中に測定すると、より正確なデータが得られます。 充電FETと放電FETの両方を別々に確認してください。 正常なバッテリーパックと比較することで参考になります。     まとめ BMS基板上のMOSFETゲート電圧を測定することは、バッテリーパックがなぜ電圧を出さないのかを判断するための効果的な方法です。DIYでの修理作業で非常に有効なステップであり、不必要な部品交換を防ぐことができます。...