BMS回路のMOSFETゲート電圧をテスターで測定する方法
バッテリーパックの診断時、特にBMS基板が電圧を出力しない場合、MOSFETのゲート電圧を測定することは非常に重要なステップです。このテストにより、FETの故障か、コントロールICの問題かを特定できます。
1. ゲート電圧が重要な理由
MOSFETは電子スイッチとして機能します。ゲートとソース間に十分な電圧(Vgs)がかからない限り、MOSFETはオフの状態を保ち、電流は流れません。
- ゲート: BMS保護ICにより制御される
- ソース: 通常はB−(バッテリー負極)に接続
- ドレイン: P−(負荷や充電のマイナス端)に接続
2. ゲート電圧測定の手順
- テスター(マルチメーター)をDC電圧モードに設定します。
- 黒のプローブをB−(バッテリー負極)に接続します。
- 赤のプローブをMOSFETのゲート端子に当てます(通常は一番端のピン)。
- 電圧を読み取ります。一般的には2〜4V以上あればFETはオン状態になります。
ゲート電圧が0V付近の場合、MOSFETはオフのままで通電しません。
3. 測定結果の読み取り
- ゲート電圧 = 0V: コントロールICが保護モードに入り、FETを遮断している可能性があります。
- ゲート電圧 = 高(例:8〜10V): FETはオンになっている状態です。それでも出力がない場合、他の回路に問題があります。
- 電圧が不安定: ゲート抵抗、ツェナーダイオード、またはICの不具合が考えられます。
4. 測定時のコツ
- 充電中や放電中に測定すると、より正確なデータが得られます。
- 充電FETと放電FETの両方を別々に確認してください。
- 正常なバッテリーパックと比較することで参考になります。
まとめ
BMS基板上のMOSFETゲート電圧を測定することは、バッテリーパックがなぜ電圧を出さないのかを判断するための効果的な方法です。DIYでの修理作業で非常に有効なステップであり、不必要な部品交換を防ぐことができます。