DDR5 vs DDR4:クロック速度と構造の進化

メモリはコンピューターのパフォーマンスを決定づける中核部品です。DDR5の普及が進む中、従来のDDR4との違いに注目が集まっています。本記事では、アーキテクチャ、クロック速度、電圧、データ転送効率、チャンネル構造などの観点から、DDR4とDDR5を詳細に比較し、次世代メモリの変遷を解説します。

 

 

1. DDRとは何か?

DDR(ダブルデータレート)は、クロックの立ち上がりと立ち下がりの両方でデータを転送することで、SDRよりも高速な転送を実現する規格です。DDR4およびDDR5は、それぞれ第4世代と第5世代のSDRAM標準です。

DDR4とDDR5メモリの比較インフォグラフィック – クロック速度、帯域幅、チャネル数、電圧、ECC機能の違いを視覚的に表現。

2. クロック速度と帯域幅

  • DDR4:2133MHz~3200MHz/最大帯域幅 約25.6GB/s(3200MHz時)
  • DDR5:4800MHz~8400MHz/最大67.2GB/s以上の帯域幅

DDR5はベースクロックが大幅に向上し、データスループットが飛躍的に向上しています。

 

 

3. Bank構造とチャンネル構成

DDR4は1チャンネル構成が基本ですが、DDR5はDIMMあたり2チャンネル構成を採用し、並列処理とデータアクセス効率が大幅に向上しました。

項目DDR4DDR5
Bankグループ数48
DIMMあたりのチャンネル数12
Burst長816

DDR5はより多くのBankとチャンネル分離によって同時処理能力とコマンド応答性能を改善しています。

4. 電圧と消費電力の違い

DDR4は動作電圧1.2Vですが、DDR5は1.1Vに低減され、より省電力に。さらにPMIC(電源管理IC)を内蔵することで電力制御の安定性も向上しています。

 

 

5. ECCによる信頼性の向上

DDR5はチップレベルECC(誤り訂正コード)を標準搭載し、データの整合性を維持します。DDR4ではECCは主にサーバー用途に限定されていたため、DDR5はコンシューマーでも高い信頼性を提供します。

6. 互換性と導入の注意点

DDR4とDDR5は物理ピン配置や電圧規格が異なり互換性がありません。DDR5を利用するには対応するマザーボードとCPUが必要です。

 

 

7. まとめ:DDR5は単なるスピードアップにあらず

DDR5はクロック速度だけでなく、消費電力・安定性・並列処理能力も向上した革新的なメモリです。ゲーミングやクリエイティブ作業、AI処理などの用途でその性能を発揮します。アップグレード時には容量だけでなく構造の変化にも注目する必要があります。

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