FET種類別性能比較と用途戦略:RF・電源・デジタル回路で最適なFETを選ぶ方法
FET(電界効果トランジスタ)は現代の電子回路に不可欠な部品です。しかし、FETにはさまざまな種類があり、それぞれ特性や用途が大きく異なります。本記事では、JFET、MOSFET、LDMOS、GaN FET、MESFET、HEMTなどの主要なFETの性能を比較し、用途に応じた選定のポイントを解説します。
1. 主なFETの種類と特徴
- JFET:高入力インピーダンスと低ノイズでアナログ増幅に適する
- MOSFET:汎用性が高く、デジタル・電源回路向け
- LDMOS:高電力RF用途に強く、直線性と耐電圧性に優れる
- GaN FET:高周波・高電力に対応、スイッチング速度が非常に速い
- MESFET:マイクロ波・高速動作に適する
- HEMT:電子移動度が高く、5Gや衛星、レーダー用途に有効
2. 用途別おすすめFET
① デジタル回路(論理制御)
- おすすめ:ロジックレベルNチャネルMOSFET(IRLシリーズなど)
- 理由:ゲートしきい値電圧が低く、3.3Vや5Vのマイコンから直接駆動可能
② 電源回路(スイッチング電源・モーター制御)
- おすすめ:パワーMOSFET(IRFやSTPシリーズなど)
- 理由:大電流対応、低オン抵抗、高速スイッチングに対応
③ RF回路(送信・増幅)
- おすすめ:LDMOSまたはGaN FET
- 理由:高出力・高効率で線形特性に優れる
3. GaN・LDMOS・MOSFETの性能比較表
比較項目 | MOSFET | LDMOS | GaN FET |
---|---|---|---|
周波数帯域 | 数十MHz | 数百MHz〜GHz | 数GHz以上 |
スイッチ速度 | 中 | 速い | 非常に速い |
効率 | 中 | 高 | 非常に高い |
コスト | 安い | 中 | 高い |
4. まとめ:FET選定のポイント
- 高速・高効率を求める:GaN FET
- 既存のRF設計に:LDMOS
- 汎用的な用途に:MOSFET
- マイコン・Raspberry Piと連携:ロジックレベルMOSFET
FET選定では、耐圧や電流容量だけでなく、周波数特性・熱設計・スイッチング損失・直線性も重要な要素です。各FETの特徴を理解し、最適な部品を選ぶことが高性能で信頼性のある回路設計につながります。